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(保管庫) 草食伝・・日本狼の復活かも・・違うかも・・・

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《第9話》 【ロビンソン戦】

《第9話》 【ロビンソン戦】

 ロビンソンという、40才くらいのアメリカ人。
これも、けっこう長くなった。
副将戦というところか。

 自己紹介をしようとしたら、その必要はないという。
俺は、アメリカ人の間でよく知られているのだそうだ。
どうゆうふうに知られてるのかな?目がこわいよ。

そんなに恐いと、先手を打つぞ。
「なんで、恐い目で俺を見てる。国がでかければ、おまえもでかいと思ってるのか?」
「でかくない」

おろっ。素直だね。
日本人のように、大企業に勤めてれば、無能でも、変態でも、りっぱな社会人というのとは、違うようだ。

でも、まだ恐い目でこう言った。
「おまえは、日本人じゃないだろ」
「いいや、日本生まれの日本人だよ」
「うそをつけ、おまえは、日本人じゃない。だって、日本人は、みんな“任侠”や“判官びいき”を知ら ないぞ」

 この英会話スクールのスタッフは、全員若い女の子だ。
知らないのも無理はない。
若い人は、日本の歴史など、古臭い陳腐なものという認識だし、特に女の人は、時間や場所が自分より距離があると、関係ないことと感じる傾向がある。
自分の頭や体が感じないから、痛くもかゆくもないから。
自分の体にあせもがちょっとできただけで、おおさわぎだが、外国で大事件や大事故が起こっても、口にする子はほとんどいない。

「俺が、日本人だ。彼女達は、2本足で立っている、毛のない動物だ」
「うそだ。おまえは、日本人らしさがない。白状しろ。日本人じゃないだろ」

しつこいな。
じゃ、証拠を見せてやろうかと、免許証を取り出した。
これがあれば、CDやビデオも借りられる身分証明書だぞ。

だが、困った。
国際免許証ではない。
国内の免許証には、本籍は載っていても、国籍はない。

ゴソゴソとしまいこんだ。
ロビンソンは“どした?”という顔で、俺の顔をのぞきこんでいる。

えーい、あとは、この手しかない。
「日本人の男は、アメリカ人の男より、チ○ポが硬くなる。アメリカ人のブロンドヘアーの美女をつれてこい。俺が日本人の男だということを証明してみせる。」

「おまえ、今なんて言った?ブロンドヘアーで、立つって?やっぱり、おまえは日本人じゃないな」
「なんだと、日本人の男は、ブロンドでも、赤毛でも、ブラックでも、女なら誰でも、チ○ポがかたくなるんだよ」

「うーん、ちくしょう」
あれ、まいったの。
いいの?これで。

だが、ロビンソンは、すぐに、建て直してきた。
年の功ってやつか?
「それじゃ、おまえの子供の頃の話しを聞かせてくれ」

マイケルから、育ち方と歴史だという話しを聞いたな。
遊んじゃおー。

「俺は、子供の頃、木登りをした。アメリカ人は、ネバダ砂漠で、原爆と砂遊びか?日本じゃ、砂遊 びは5才以下の子供がやることだ。」
「俺の家はネバダ砂漠から、遠かった。家の近くには、木がいっぱいあった。もちろん木登りはしたよ。」

「ふーん、俺は、6フィート(約1m80cm)の屋根から、飛び降りたことがある。アメリカ人は、屋根の下で、ひざをかかえて、泣いていたのか?」
「ふん、俺は、8フィート(約2m40cm)の屋根の上から、飛び降りたことがある」
宍戸錠のように(あー、また古いか)人差し指を、チッチッチッと振っている。本場もんのチッチッチッを見てしまった。

「うそだろ?」
「うそじゃない」
「その高さの場所はどこだ?」
「住んでいた家の屋根だ」

 うーん、住宅の屋根の軒下は、たしかに、8フィートくらいある。
うそではなさそうだ。
俺は、乾燥場と呼ばれていた作業場の庇からとびおりた。
屋根の上では、ふるえていた。
飛べるかな?無理かな?と。
でも、思い切って飛び降りたら、なんてことなかった。けがもしなかったし。
屋根の上では、弱い子だったけど、屋根から飛び降りたら、少し強くなった気がした。

それを、こいつは、8フィートの高さから降りたって。
もしかしたら、こいつには、かなわないかもしれない。
ちょっと、きたない感じがするけど、路線をかえるか。

「俺は、正月になると、たこあげをした。アメリカ人は、オレンジを食っていたのか?手を黄色くして」
「俺も、たこあげはしたよ。正月じゃなかったけどな」

ナニ。
そういえば、洋カイトというのを、売っていた時期があったな。
そのころには、たこあげは、卒業してたけど。
うーん、とことん手ごわいやつだ。
あとは、この手しかあるまい。

「日本人の子供は、手先が器用だったから、たこは自分で作った。アメリカ人は、自分の指をくしにさして、バーベキューか?」
「うーん、ちくしょう」

やった、勝ったぞ。
でも、いい勝負か。

「だいたい、同じだということがわかった。ドローにしよう」
引き分けを申し入れた。
快諾してくれた。
「いいよ。おまえが、望むなら」

「ところで、若い頃、アメリカが出していた月間プレイボーイという雑誌があったろ?俺は、日本版 月間プレイボーイを読んでいた。最初に開くのは、センターフィールドだった。おまえは、プレイボ ーイを読んだことがあるか?」
「もちろんだ。俺も、センターフィールドが一番好きだった」

よし。
ちなみに、月間プレイボーイのセンターフィールドとは、プレイメイトと呼ばれるアメリカ人女性のヌードグラビアがあるページ。あまりのダイナマイトバディなので、あきれかえって口を開けたりすると、よだれがこぼれるというところ。

「俺もおまえも、同じだということがわかった。そこで、おまえの力を貸してほしいことがある」
「なんだ?おまえになら、喜んで力を貸そう」

「ありがとう。俺は、アメリカが世界でNo1の国、日本がNo2の国だと思っている。おまえは、その ことをどう思う?」
「もちろん、それで、いいと思う」

「そのNo1の国とNo2の国でやりたいことがある。世界に、男は女が好き、女は男が好きというの を、広めるんだ。どうだ?」
「OK、ぜひ、アメリカと日本でやろう」

「ん?日本とアメリカでやるんだ」
「アメリカと日本だろ。さっき、おまえは、アメリカがNo1、日本がNo2と言ったろう」
「いいや、日本とアメリカでやるんだ。だって、アメリカ人は、たこが作れないんだろう」
ロビンソンはガックリと頭をたれた。

「わかった、日本とアメリカでやろう」
 わーい、アメリカ人って大人だねぇ。

 


 


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